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4度目の被災地 ④ [被災者支援]

(前回のつづき)

 2月9日、釜石の仮設住宅で講義を終えた後、大船渡へ向かった。大船渡では、ある社会福祉法人で、「市民後見」を中心に高齢者の権利擁護について話をすることになっている。

 
 話し終わって、「大船渡屋台村」 http://www.5502710.com/ へ連れて行ってもらった。
 時刻は8時半を回っていた。相変わらず雪が降り続き、寒暖計は氷点下5度を示している。

 瓦礫を処理した跡地に仮設のプレハブを建て、そこに居酒屋や寿司屋などが屋台村を作って営業している。20軒の飲み屋さんが肩を並べていて、そこそこ繁盛している。2年間限定で大船渡市から店舗をかりているのだそうだ。

 夜遅かったせいで、屋台村がどのような場所に立地しているのか分からなかったが、翌朝その横を通ると港の直ぐそばにあったことが分かった。以前は商店が建ち並んでいて賑やかな場所だったそうだ。ところが、すべてを津波に流されて辺りには何もなくなっていた。

 始めに、「かあさんのおもてなし喜楽」に入った。 http://shoplist.5502710.com/e402.html
 自家製おでんが絶品だった。大船渡には、「煮付け」という食べ物があり、これも旨かった。
 しかし、「おでん」と「煮付け」の違いが分からなかった。
 もう一度尋ねて、研究しないといけないな。

 ここの女将さんは、津波で家を流され仮設住宅で暮らしている。
 高台移転の話が出ていて、具体的な内容になると役所と住民の意向が折り合わないようだ。単に高台に家を造れば良いという役所の考えに対して、高齢者・障害者の将来の生活を見据えた仕掛けも造ってもらいたいという住民の意向の間に、大きなずれがあるようだ。

 次に、「おふくろのあじ えんがわ」を訪れた。 http://shoplist.5502710.com/e336.html
 マスコットガールとして、大正生まれの母ちゃんがいる家庭料理の店だ。昼間は、この母ちゃんが「ひっつみ」という、すいとんのような食べ物を出してくれる。夜は、この母ちゃんのお嬢さんが2人で飲み屋をやっている。このお嬢さんが美人で人気を博している。「バンキシャ!」の取材を受けたそうだ。復興をめざす意気込みが会話の端々に溢れていた。

 この店は、地元の人たちが集まって情報交換をする場になっていて、「えんがわ」という店名はこれに由来しいている。 http://engawa1960.5502710.com/

 津波被害にあった皆さんの思いを受けとめながら、飲む熱燗は心にしみる。傍観者ではなく、自分のこととして受けとめ続けることの大切さを、ずしりと受けとめた。

 被災地の復興は、遅々として進んでいない。行政の不手際には目を覆いたくなる。
 しかし、被災地の住民は、自らの力でコミュニティの将来像を描き始めている。
 住民の皆さんが描く将来への道筋に対して、行政が手枷足枷になることだけはやめて欲しいと祈るばかりだ。

 (おわり)
 
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4度目の被災地 ③ [被災者支援]

(前回のつづき)

 2月10日、私は大船渡で2つの仮設住宅を訪問した。

 現在、大船渡市の仮設住宅にサポートセンターはない。平成24年4月までに4カ所に設置する予定だ。

 そこで、サポートセンターが存在しない仮設住宅の現状について調査をした。
 各仮設住宅には、1年限定で期間雇用された「支援員」がいる。その支援員は、市から業務委託を受けた私企業に雇用されている。支援員は概ね1つの仮設住宅に1人配置されており、大きな仮設住宅には複数の支援員が配置されている。

 支援員は、各仮設住宅の住民から市などに対する要望などを聴き取り、それを雇用されている私企業に報告し、私企業はその報告を市などに報告するという形で、仮設住宅の住民の要望などを伝達する。支援員は、住民からの生活相談や法律相談などを受けた場合でも、自ら解決したり専門職に伝えることは禁じられており、すべて雇用主である私企業に伝え、それを市などに伝えなければならないようだ。

 そのため、住民が緊急に支援員に相談をしたり依頼しても、その相談や依頼が実現するまでに時間がかかることになり、住民はその点について不満を抱いているようだ。

 支援員は、高齢者・障害者に特化して何かをするという役割を担っているわけではない。そのため、高齢者・障害者は自分の思いを支援員に伝えきれているわけではない。

 また、仮設住宅に居住する高齢者・障害者は自宅に引きこもりがちだ。サポートセンターのない現状において、高齢者・障害者を居室から外に出てもらうことに支援員は頭を悩ませている。ことある毎に声がけをして、イベントがあれば出かけるように促すことが毎日の日課になっている。

 高齢者・障害者の孤立防止のためにもサポートセンターは不可欠であり、高齢者・障害者にとって身近な場所にサポートセンターが必要であることを再確認した。

さらに、サポートセンターには、ある程度の裁量権をもつライフサポートアドバイザーが必要だ。ライフサポートアドバイザーが、高齢者・障害者のニーズを吸い上げ、迅速に対応するというシステムが必要であることも実感した。

 
 複数のサポートセンターがある場合、サポートセンター相互の情報交換と共通の研修が必要だ。また、岩手県全域のサポートセンターの担当者を集めた研修も必要である。サポートのスタンダードを構築することによって、高齢者・障害者の権利擁護のファンダメンタルズを確保することが必要だと思う。 

 高齢者・障害者は、仮設住宅のなかで充分な支援を受けることができない状況だ。そのような状況を打開するためには、仮設住宅にサポートセンターを設置するとともに、ライフサポートアドバイザーが専門知識をもって積極的に高齢者・障害者に関わることが不可欠だ。

(つづく)


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4度目の被災地 ② [被災者支援]

(前回のつづき)

 2月9日、岩手県釜石市のサポートセンターで、私は以下の単元を担当して講義を実施した。

④ LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その4
 ・成年後見制度
 ・虐待問題
 ・介護問題
 ・まとめその他

 雪が降り続きポイント故障のため新幹線と釜石線が大幅に遅れた。そのため、講義は定刻より遅れて始まった。出席者は15人。民生委員2人、大船渡市でサポートセンターを受託する予定の法人から3名が参加し、それ以外の10名が、うかがったサポートセンターの職員だ。

 釜石にはサポートセンターが3カ所あり、他の2カ所にも出席要請をしたものの参加はなかった。サポートセンター同士の連携が充分になされていないのかもしれない。仮設住宅で暮らす高齢者・障害者にきめ細かな支援をするには、サポートセンター相互の連携や、サポートセンターと地元の社会資源との連携が急務であると思う。

 講義については、理念的な説明については概ね理解を得られたように思うが、理念と現場との間に乖離があるようだ。その点については、個別に意見交換をすることができた。

 たとえば、成年後見の市町村長申立や成年後見利用支援事業について、釜石では市町村長申立がほとんど行われておらず、利用支援事業の予算立てもないようだ。

 この点について、釜石では、親族が近くにいるケースが多いため、身寄りのない高齢者・障害者が少なく、市町村長申立の必要な事例が少ないのではないか、などという意見があった。
 
 しかし、個人的には、成年後見制度に対する啓発が不充分であり掘り起こしができていないのではないかという感想をもった。

 また、高齢者虐待については、高齢者虐待の定義や、なぜ虐待認定をする必要があるのか等について説明をした後、通報から市町村による虐待認定、虐待対応、虐待対応の終結に至るフローについて説明をした。
 
 それに対して、民生委員から経済的虐待を発見しても、市が虐待と認定するケースがほとんどないのではないか、見て見ぬふりをしているのではないか、という本音の発言があった。

 特に経済的虐待については、通報をすると高齢者を含めて家族の生活が立ち至らなくなるのではないかという意見がでた。市町村や地域包括支援センターが、適切に高齢者虐待へ対応する体制整備ができていないのではないかと思う。

 高齢者・障害者の権利擁護については、スタンダードというべきものはあるものの、地域の特性を無視することはできない。とはいえ、体制整備が不可欠であるとともに、権利擁護の責任主体である市町村や地域包括支援センターの職員への意識付けが、まだまだ足りないのではないかという印象をもった。

(つづく)

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4度目の被災地 ① [被災者支援]

 5月、6月、11月に続き、2月9日10日と被災地を訪れた。

 日弁連の高齢者障害者の権利に関する委員会、震災プロジェクトチームのモデル事業で、岩手県釜石市の仮設住宅に隣接するサポートセンターで、LSA(ライフサポートアドバイザー)に講義をすることと、仮設住宅で生活をする高齢者・障害者の実状について調査をすることが訪問の目的だ。

 ここで仮設住宅のサポートセンターについて説明をしておかなければならない。

 東日本大震災の被災地の仮設住宅における高齢者等の安心した日常生活を支えるため、総合相談、居宅サービス、生活支援サービス、地域交流などの総合的な機能を有する「サポート拠点」をサポートセンターと名付けている。
  サポートセンターの特色は以下の点である。
① 仮設住宅入居者の孤立や要介護度の悪化を防止するとともに、高齢者が気軽に訪れることのできる「居場所づくり」を目指す。
② 仮設住宅地の中心部に、総合相談、デイサービス、地域交流、診療機能等の機能を有する、総合的なサービス拠点として整備する。
③ ケアコールシステムを活用して24時間体制での見守りを支援。
 なお、以下のURLのサポートセンターは私が伺った所とは異なるが、参考のため添付する。
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001biyf-att/2r9852000001nu5j.pdf

 仮設住宅に住まう高齢者・障害者は、放っておくと住まいに一日中居続けることになり、他の住民から孤立することになる。その結果、認知症が進行したり、既往症が悪化することにもつながる。そのような状況を防ぎ、仮設住宅のなかで高齢者・障害者が以前の自宅で送っていた生活に近い環境を保持することが、サポートセンターの目的である。そこで、高齢者・障害者の支援をしている人が、LSA(ライフサポートアドバイザー)だ。彼らは、仮設住宅に住む高齢者・障害者から、様々な相談を受けて対応している。

 日弁連は、東北三県に全国の弁護士を4人ずつ割り付けて、サポートセンターでのLSA(ライフサポートアドバイザー)に講義をすることにした。カリキュラムは以下のとおりだ。
①LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その1
 ・総論(LSAの意義,倫理,個人情報の取り扱いなど)
 ・親族法入門
②LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その2
 ・相続法入門(遺言を含む)
 ・くらしの法律入門①
  (いわゆる民法総則~債権総論までのうち基礎的なもの)
③LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その3
 ・くらしの法律入門②
 (契約各論の中で基礎的なもの,消費者被害,債務問題) 
④ LSA・行政職員のための「法律に関する基礎知識」その4
 ・成年後見制度
 ・虐待問題
 ・介護問題
 ・まとめその他

(つづく)
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被災地における施設サービスの課題② [被災者支援]

 前回に引き続き、被災地における施設サービスの課題について考える。

 施設不足とミスマッチの問題だ。
 
 被災した施設の復旧・復興は進んでおらず、高齢者施設・障がい者施設は、被災以前に比べると物理的に不足している。

 また量的な不足のみならず、質的にも施設が利用者のニーズに対応できないというミスマッチを惹起している。
 
 例えば、グループホームなどの小規模な施設で対応すべき高齢者や障がい者が、施設が不足しているため特別養護老人ホームや老健などの大規模施に収容されて対応されている場合や、施設に入所することができないため仮設住宅で生活することを余儀なくされ、充分な介護を受けられない場合などである。

 また、認知症高齢者などは、住み慣れた地域で顔なじみの地域住民と生活することによって安心して生活をすることができる。しかし、現状では住み慣れた地域を遠く離れた場所で、しかも顔なじみの地域住民とも離ればなれの生活を余儀なくされており、この点におけるミスマッチも見過ごすことはできない。

 さらに、仮設のグループホーム(グループホーム型仮設住宅)や仮設の特別養護老人ホーム(特別養護老人ホーム型仮設住宅)の設置が認められたものの、それらの仮設施設の絶対量が不足している。

このように、被災地における介護施設はニーズに対応していない。

 岩手日報の記事(平成24年1月24日)
「 東日本大震災で被災した沿岸12市町村の特別養護老人ホームなど34の介護保険施設のうち、7施設が再開できずにいる。再開時期のめどが立たない施設も多く、1施設は再建を断念する方向だ。自治体の具体的な土地利用が決まらず、建設地のめどがつけられないことが背景にある。現在、入所者は内陸の施設などで受け入れているが定員超過の状態が続いており、早期の再開が望まれる。

 県によると、津波被害による全壊などで未再開なのは大船渡市の特養など2施設と、宮古市、釜石市、大槌町、山田町、野田村のグループホームなど5施設の計7施設。このうち野田村は再開を断念し、残る6施設は準備を進めているものの、再開時期の具体的なめどが立っていない施設が多い。

 県によると、内陸部を中心に県内32施設が被災した高齢者144人(昨年10月末時点)を定員超過で受け入れている。内陸の施設を利用する人の中には、地元に戻ることを望む人も多いほか、被災地では高齢化が進んでいるため地元での介護サービスのニーズが高まる可能性が高い。」

 自治体の具体的な土地利用の計画は、当該自治体のみならず県や国の政策と密接に連動している。国や県が具体的な土地利用のマスタープランを打ち出さないことには手がつけられないというのが現実のようだ。

 ここでも頼りにならない行政が、手枷足枷(てかせあしかせ)になっている。

(おわり)
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被災地における施設サービスの課題① [被災者支援]

 被災地における施設サービスの課題について少し考えた。

 
 まず、人材不足が深刻だ。
 
 高齢者施設や障がい者施設は、全国的に慢性的な人材不足に悩まされている。仕事の内容が過酷であるばかりでなく、施設従事者の給料が他の産業の従事者に比べて低額であることが影響しているからだと思われる。

 被災地においては、施設従事者が、地震や津波の被害に遭ったことや、被災地から遠方に疎開していることなどに起因して、全国的な人材不足以上に施設従事者が不足している。
 
 そのため、現在高齢者施設や障がい者施設では、少ない施設従事者が、施設の定員を超過した利用者に対して介護・支援することを余儀なくされている。慢性的な加重労働を強いられている。
 
 このような事情から、加重労働から逃れるために施設従事者は他の仕事に転職をしたり、他の地域の施設に転出することも多数見受けられる。

 この悪循環が、被災地における施設従事者の人材不足に拍車をかけていると言っても過言ではない。

 もともと安い施設従事者の賃金を、公的に補填する予算措置が必要であることは言うまでもない。

 それと共に、人材や施設の不足を改善するためには、市町村・都道府県の枠を越えた広域的な支援の枠組みを構築する必要がある。国が主導して他の都道府県から介護職員などを長期的に派遣することができる支援体制の整備も急務であろう。

 施設従事者の労働市場を流動化させ、半年・1年・2年のタームで、施設従事者を他の法人に出向させることを義務づけることはできないか。
 そして、出向をさせた法人には、何らかの財政支援が伴うという仕組みはどうか。例えば、被災地出向加算などというインセンティブ。
 施設従事者に対しては、出向後元の法人に戻っても、以前からその法人に勤めている時と同等の身分保障があることが不可欠であろう。

 この課題に対する対応は、国が主導して、都道府県がそれをバックアップする。市町村は積極的に人材を確保し国が作り都道府県がバックアップしたラインに乗せていくという仕組みが必要だ。

 政策立案能力のある政治家とやる気のある官僚、スーパーバイズのできるブレインがいれば「鬼に金棒」なんだが。
 
 (つづく)
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あてにならない行政 [被災者支援]

 10月21日に岩手で講演をし、翌日山形で被後見人の両親の法事に参列した。
 講演後、盛岡で懇親会に参加。
 7か月経過した被災地の話を聞いた。

 仮設住宅は各所にできたものの、買い物や通勤に不便な山奥の仮設はガラガラ。
 入居したとしても、仮設での生活は満足のできるものではないようだ。
 しかし、仮設の住民が市町村に様々な要望をしても、「それは県の仕事で市町村は何もできない」と。
 行政は住民の生活にあまり興味がないようだ。
 特に、支援の必要な高齢者・障害者には全くと言っていいほど光が当たっていない。

 9月ころには完成かと言われていた仮設住宅のサポート拠点も、遅々として進んでいない。
 ようやく県が、設置する建物の仕様と場所を決め、建設に着工しようという段階のようだ。
 箱物の中身、すなわちサポートの内容にまで立ち至っていないのが残念だ。
 このサポート拠点は、仮設住宅に居住する高齢者・障害者を総合的に支援するために、弁護士や社会福祉士などが巡回する拠点であり、被災三県にそれぞれ20億円の予算がついている。

 6月ころから計画が立てられ、仮設住宅に入居した高齢者・障害者が安心して生活ができる基盤整備として位置づけていた。建築候補地は市町村が県に上申し県が決定し、運用は市町村が行うというスキームだ。しかし、県と市町村との連携がうまくいかず、遅れに遅れている。

 最近は、市町村に要望を出しても動きが遅いため、仮設住宅の自治組織が自ら直接関係機関に要請して対応をしてもらっているようだ。ケアマネ協会や介護福祉士会に直接アプローチをして、人を派遣してもらうことが日常的に行われているそうだ。

 サポート拠点についても、箱物ができなければサポートができないという市町村の対応に任せていると対応は後手に回る。高齢者・障害者の生命・身体の安全を確保するという視点からすると、時間との勝負という側面がある。市町村は県との関係を重視するあまり、支援を必要としている高齢者・障害者の存在を直視していない。

 三県の弁護士会や社会福祉士会、日弁連や日本社会福祉士会は、人材を派遣するための準備を整えて待機をしている状況だ。県や市町村のこのような対応体制が完備するのを待っているのではなく、ニーズのある高齢者・障害者の仮設を巡回することで、目的を達成できるのではないだろうか。

 行政があてにならないのであれば、仮設住宅の自治組織と弁護士会や社会福祉士会が直接連携して、高齢者・障害者を直接支援する仕組みを考える必要があるのではないか。

 被災地で、被災者の状況を聞いて実感した。

 
 
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2度目の被災地 ② [被災者支援]

 平成23年6月29日、日弁連「高齢者障害者の権利に関する委員会」委員として陸前高田を訪れた。
 
  陸前高田の介護老人保健施設(略して「老健」)で、施設長と看護師長から、被災地における要介護高齢者への対応状況について話を聴いた。

  老健は、ご存じのとおり、病院での治療が終わり、マヒやけがの症状が安定した高齢者を、原則として3ヶ月を限度に受け入れる。自宅での生活を可能にするためリハビリを行う施設である。家に帰すことを目的にしているところが、特別養護老人ホーム(略して「特養」)と異なる。

  陸前高田は、民家の大半が津波に流されてしまったため、高齢者が在宅で生活をする基盤がない。そのため、陸前高田の老健では、高齢者を自宅に帰す目途が立たず、3ヶ月間という期間は有名無実になっている。

  また、地域の高齢者施設が壊滅的な被害を受けたため、被災した特養やグループホームに入所していた高齢者も受け入れている。一般の避難所では支援ができない高齢者も受け入れている。

  この施設は、収容定員190人のところ、現在200人の高齢者を受け入れている。介護保険法の指定基準である定員をオーバーすることが認められているため、224人まで収容することが可能であるが、ベッドと職員が足りないのでここまで受け入れることはできない。ちなみに、3月11日から12日にかけての収容人数は212人だった。会議室や食堂などにもベッドを置いて対応したそうだ。さながら野戦病院のようだったらしい。

  被災から3ヶ月が経過して、顕在化してきた問題は、入所したい、あるいは入所させたいと思っていても、経済的な理由から入所することができないケースが増えてきたことだ。介護が必要な高齢者を、施設が受け入れようと入所判定会議で入所決定をしても、本人や家族が利用料金を支払うことができず、やむなく入所をあきらめるというのだ。

  介護保険では利用者に利用料の1割負担を求めているが、産業が壊滅的な状況であることから解雇され、生活費にも事欠く状況では、その1割も負担できないというのだ。その結果、避難所での生活を余儀なくされている要介護高齢者がいることも事実である。

  義援金の配分も十分になされず、役所からの支援も十分ではない状況にいらだちを覚えるが、せめて介護保険の1割負担を免除する措置ぐらいは早急にとるべきだと思う。
 

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2度目の被災地 ① [被災者支援]

 5月1日に、女川町と石巻市を現地調査したが、2度目の現地調査のため被災地に入った。

 6月28日、日弁連の会議が午後7時に終わり、その足で新幹線に飛び乗った。日弁連の「高齢者障害者の権利に関する委員会」委員4人で現地調査のため、陸前高田と大船渡へ入るためである。

 午後11時ころ、一ノ関のホテルに入り前泊した。ホテルはどこも満室で、客は朝早く出かけていく。隣の客は午前5時に出て行った。岩手の沿岸部にあったホテルは全滅で、泊まるところがないため、一ノ関のホテルに泊まって陸前高田や大船渡に向かうのだろう。

 6月29日、我々も朝一でレンタカーを借りて、陸前高田に向かった。約1時間45分かかって陸前高田に入ったものの、一面の荒野には廃屋と瓦礫しかないため目標物がない。ナビで中心部に向かうが、自衛隊員か瓦礫を処理する人以外に人もいない。道は辛うじてあるものの、信号もない。例えが悪いかもしれないが、SimCityというゲームで街を作り始める前の風景はこんな感じだったかも知れない。

 小高い丘にあるはずの老健へ向かった。しかし、ナビでは行き着くことができなかった。そこで、作業をしている地元の人に尋ねることにした。その人は「目印になるものがなくなったので…」と言いながら、廃屋になっている5階建ての建物を目印にそこを左へ行き、これまた廃屋になっている建物を目印にそこを右に行き、という案内をしてくれた。

 5階建ての建物は、4階まで津波の波に洗われたようで黒ずんでおり、窓ガラスが吹き飛んでいた。5階部分だけが辛うじてカーテンが敷かれ窓ガラスがあった。

 丘の上にある老健には、車が4、50台停まっていた。テレビ局の中継車も停まっていた。ここだけは人間が活動をしている気配がする。施設長と看護師長から、陸前高田における被災当時の状況や、高齢者・障害者を取り巻く環境など詳細な話を聴くことができた。

 (つづく)

 
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被災地にて3 [被災者支援]

5月1日に、日弁連の仲間と被災地を訪問した。その際にTwitterにつぶやいたものをアップする。
今回が、このシリーズ最終回。

 避難所からの出口は、①施設入所、②民間アパート入居、③仮設住宅入居が考えられる。①については公設民営化が必要だ。②は空室がない。③に入居した後の出口を見据える必要がある。入居者の4、5年後の生活がどのようなものかを想定して支援すべきだ。漫然と対応することは不幸を招く。

 被災地では、手帳を持っている障害者など制度に乗っている障害者に対しては、様々なサービスが提供されている。しかし、制度から取り残された障害者に対してはサービスが提供できない。この問題をどうするのか。問題意識をもった施設に任せておくのは無責任ではないか。行政の責任。

 被災地の現状は、まだ「復旧」の段階。しかし、次の「復興」の段階に備えて、高齢者・障害者に対する政策のグランドデザインを国、地方公共団体、民間の叡智を結集して立案すべき状況だ。もちろん、高齢者・障害者を主体としたグランドデザインでなければ意味はない。

 石巻市の担当者に尋ねたところ、成年後見の市町村長申立に手がまわらない状況のようだ。誰を後見人候補者とするのか、成年後見制度利用支援事業への予算は確保できるのか、などなど高齢者・障害者をとりまく課題で着手できないものが沢山ある。時間がかかりそう。支援の在り方、要検討。

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