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2度目の被災地 ② [被災者支援]

 平成23年6月29日、日弁連「高齢者障害者の権利に関する委員会」委員として陸前高田を訪れた。
 
  陸前高田の介護老人保健施設(略して「老健」)で、施設長と看護師長から、被災地における要介護高齢者への対応状況について話を聴いた。

  老健は、ご存じのとおり、病院での治療が終わり、マヒやけがの症状が安定した高齢者を、原則として3ヶ月を限度に受け入れる。自宅での生活を可能にするためリハビリを行う施設である。家に帰すことを目的にしているところが、特別養護老人ホーム(略して「特養」)と異なる。

  陸前高田は、民家の大半が津波に流されてしまったため、高齢者が在宅で生活をする基盤がない。そのため、陸前高田の老健では、高齢者を自宅に帰す目途が立たず、3ヶ月間という期間は有名無実になっている。

  また、地域の高齢者施設が壊滅的な被害を受けたため、被災した特養やグループホームに入所していた高齢者も受け入れている。一般の避難所では支援ができない高齢者も受け入れている。

  この施設は、収容定員190人のところ、現在200人の高齢者を受け入れている。介護保険法の指定基準である定員をオーバーすることが認められているため、224人まで収容することが可能であるが、ベッドと職員が足りないのでここまで受け入れることはできない。ちなみに、3月11日から12日にかけての収容人数は212人だった。会議室や食堂などにもベッドを置いて対応したそうだ。さながら野戦病院のようだったらしい。

  被災から3ヶ月が経過して、顕在化してきた問題は、入所したい、あるいは入所させたいと思っていても、経済的な理由から入所することができないケースが増えてきたことだ。介護が必要な高齢者を、施設が受け入れようと入所判定会議で入所決定をしても、本人や家族が利用料金を支払うことができず、やむなく入所をあきらめるというのだ。

  介護保険では利用者に利用料の1割負担を求めているが、産業が壊滅的な状況であることから解雇され、生活費にも事欠く状況では、その1割も負担できないというのだ。その結果、避難所での生活を余儀なくされている要介護高齢者がいることも事実である。

  義援金の配分も十分になされず、役所からの支援も十分ではない状況にいらだちを覚えるが、せめて介護保険の1割負担を免除する措置ぐらいは早急にとるべきだと思う。
 

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