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後見 高齢者の見守りⅢ その3 [成年後見]

(前回のつづき)

 私は被後見人の次女に、被後見人が精神科病棟に移ったことを電話で伝えた。
 そのうえで、内科的な治療をするとともに、精神科的な疾患の治療をメインにするという、主治医の治療方針を説明した。いつ最期を迎えるかもしれない、親族の面会を勧めるという主治医の発言を付言した。
 
 「分かりました、すぐに面会に行きます」という言葉を期待していた私は、戸惑った。
 次女は「私は母に会えません」と言うのだった。

 長期間にわたって、次女は母から理由のない「いじめ」や「虐待」を受け続けていたらしい。
 「父に似ていた私を、母は嫌っていたため、ことある毎に叱責を受け続けていました」
 「母は自分に数百万円を貸したと言い。直ぐに返しなさいと繰り返し言われました」
 ある時から、次女は母の声を聞くと体に異変を来すようになったと言う。

 5月に亡くなった夫も、生前同じようなことを言っていた。
 家に居ると50年以上も前の浮気を責められ続け、夜寝ることもできなくなったので家を出たと言うのだ。夫は妻である被後見人の話になると、露骨に不愉快な表情になる。

 私も、同じようなことを体験をしたことがある。
 毎月被後見人に生活費を届けに行くと、突然目がつり上がり、長時間夫をなじり続けるのだ。
 今でも夫が家に入ってきて、浮気相手の女のために自分の洋服や下着を持ち出すとも言う。
 80歳を超えた夫にはそのようなことはできない。
 何かの勘違いかもと言っても、彼女の妄想は更にエスカレートしていく。
 娘の話をしても、被後見人は攻撃的な発言を続けた。自分の金を持ち逃げして、まだ返してくれないと繰り返す。

 
 4、5年前に、私の法律事務所で、被後見人と夫、それに娘2人が面談した。
 被後見人に事故があった場合、夫や娘たちの協力は不可欠であり、関係修復が不可欠だと考えたのだ。しかし、物別れに終わった。被後見人が夫や娘たちをなじり始め、夫と娘は「冗談じゃない」と言って席を蹴るのだ。

 この頃から、私は被後見人は認知症ではなく、何らかの精神障害に罹患しているのではないかと思うようになった。そして、主治医である精神科の医師にその旨を伝えた。しかし、薬や指示は何も変わらなかった。

 もともと被後見人は精神障害であった。
 しかし、介護保険上のサービスを受け易くすることと、成年後見人を選任し易くするための便法として、主治医は「認知症」と診断したのではないかと考える。被後見人への支援を考えたとき、精神障害者であることよりも、認知症であった方が、様々なサービスを受けやすいという状況が、主治医にそのような診断をさせたのではないかと思う
(これは、あくまでも私の推測にすぎないが…)。
 

(次回に、つづく) 
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コメント 5

BZK

先生、伝わってきますよ!
果たして被後見人を守ることができるのでしょうか。それは、施しや哀れみではなく、共感の世界だと思っています。
また。私たちは、どのような社会を作ろうとしているのでしょうか。
私自身が試されているようです。 茅ヶ崎のBZK
by BZK (2011-10-21 06:39) 

emmei1

おっしゃるとおり、「共感の世界」ですね。
高齢者については、介護保険があり、支援に関してはファーストランナーですが、知的障害者や精神障害者に対する支援の仕組みが未整備で、ファーストランナーの背中が見えない状況です。
社会として、このような状況をどのようにすれば良いのでしょうか?
by emmei1 (2011-10-23 18:15) 

エックス

弁護士のくせに後見人という役割を受任したくせになにもやらない人もいます。
http://124.83.175.223/nb_ichii/32250511.html
佐々木一彦
by エックス (2011-12-08 15:10) 

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