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被災地における施設サービスの課題② [被災者支援]

 前回に引き続き、被災地における施設サービスの課題について考える。

 施設不足とミスマッチの問題だ。
 
 被災した施設の復旧・復興は進んでおらず、高齢者施設・障がい者施設は、被災以前に比べると物理的に不足している。

 また量的な不足のみならず、質的にも施設が利用者のニーズに対応できないというミスマッチを惹起している。
 
 例えば、グループホームなどの小規模な施設で対応すべき高齢者や障がい者が、施設が不足しているため特別養護老人ホームや老健などの大規模施に収容されて対応されている場合や、施設に入所することができないため仮設住宅で生活することを余儀なくされ、充分な介護を受けられない場合などである。

 また、認知症高齢者などは、住み慣れた地域で顔なじみの地域住民と生活することによって安心して生活をすることができる。しかし、現状では住み慣れた地域を遠く離れた場所で、しかも顔なじみの地域住民とも離ればなれの生活を余儀なくされており、この点におけるミスマッチも見過ごすことはできない。

 さらに、仮設のグループホーム(グループホーム型仮設住宅)や仮設の特別養護老人ホーム(特別養護老人ホーム型仮設住宅)の設置が認められたものの、それらの仮設施設の絶対量が不足している。

このように、被災地における介護施設はニーズに対応していない。

 岩手日報の記事(平成24年1月24日)
「 東日本大震災で被災した沿岸12市町村の特別養護老人ホームなど34の介護保険施設のうち、7施設が再開できずにいる。再開時期のめどが立たない施設も多く、1施設は再建を断念する方向だ。自治体の具体的な土地利用が決まらず、建設地のめどがつけられないことが背景にある。現在、入所者は内陸の施設などで受け入れているが定員超過の状態が続いており、早期の再開が望まれる。

 県によると、津波被害による全壊などで未再開なのは大船渡市の特養など2施設と、宮古市、釜石市、大槌町、山田町、野田村のグループホームなど5施設の計7施設。このうち野田村は再開を断念し、残る6施設は準備を進めているものの、再開時期の具体的なめどが立っていない施設が多い。

 県によると、内陸部を中心に県内32施設が被災した高齢者144人(昨年10月末時点)を定員超過で受け入れている。内陸の施設を利用する人の中には、地元に戻ることを望む人も多いほか、被災地では高齢化が進んでいるため地元での介護サービスのニーズが高まる可能性が高い。」

 自治体の具体的な土地利用の計画は、当該自治体のみならず県や国の政策と密接に連動している。国や県が具体的な土地利用のマスタープランを打ち出さないことには手がつけられないというのが現実のようだ。

 ここでも頼りにならない行政が、手枷足枷(てかせあしかせ)になっている。

(おわり)
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