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被災地にて2 [被災者支援]

 5月1日に、日弁連の高齢者・障害者委員会の仲間と被災地を訪れた。その時にTwitterでつぶやいたものを、昨日に引き続きアップする。

 女川の町は、鉄道の高架橋をくぐった瞬間から別世界が広がり、漁港で栄えていた街はその片鱗もない。強烈なショックだった。在るべきものがない、街がなくなっている。言葉がでない。役場も洪水のため廃墟になっていた。電車の車両がお墓の上に乗っかっている。

 高齢者・障害者の被災者は、家を流され→一般の避難所→福祉避難所→仮設住宅または施設入所。仮設住宅の設置と入居に関する決定権は県にある。しかし、県は高齢者・障害者の実態を把握していない。仮設はバリアフリーではない。施設は特例措置で定員の1.5倍までOKだが、職員は足りず過労は極限に。

 仮設住宅の建設が遅々として進んでいない。高齢者・障害者のニーズを把握している市町村ではなく、県が設置場所や設置戸数を決めるらしい。その県が現地を見ていないため状況把握ができない。机の上だけで仕事をしているとこういうことになる。仮設ができないと、避難所から出ることもできない。早く!

 高齢者・障害者の生活を支える人が亡くなってしまうと、生活保護を受給する高齢者・障害者が増える。経済的には生保で何とかなるにしても、精神的には、どのようにフォローするのか?「虚無感」から自殺や鬱になる人が増える。総合的な支援体制が急務だ。

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被災地にて 1 [被災者支援]

 今日はいろいろなことがあったので、新作は困難。
 そこで、5月1日に被災地を訪れた際に感じたことをTwitterの私のつぶやきからピックアップして綴る。

 本日、日弁連の仲間10人と、仙台から女川、石巻の現場を訪れた。朝6時40分東京発の新幹線で現地入りし、今帰宅した。「喪失感」から「明るく力強い復旧、復興」へ発想を転換する必要性を実感した。
 
 女川町の「福祉避難所」を訪問。一般の避難所に入ったものの、ひとりでは身の回りのことができない高齢者・障害者と、その家族が生活している。町の老健施設を間借りして約50人の方が。暖かい食べ物が提供され、一般の避難所に比べると、しっくりした生活ぶりだった。この人たちの今後の住処はどこ?

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被災者のプライバシー保護と個人情報保護 [被災者支援]

 避難所で共同生活をおくっている被災者の皆さんは、必ずしもプライバシーが守られているとはいえない。他方、個人情報保護法が福祉関係者やボランティアによる被災者支援の障害になっている。この矛盾を、プライバシーの保護と個人情報の保護とを対比しながら考えてみる。

 プライバシーとして保護される範囲は、とても広い。例えば、朝食は何を食べたかとか、誰が誰を好きとか嫌いとか、お風呂に入ったかどうかとか、個人の行動や精神活動の全般に及ぶ。そして、プライバシーの権利(プライバシーを侵害されない権利)は、個人の内心の自由を核とする憲法上の最も重要な権利のひとつである。

 他方、個人情報とは、個人のプライバシーそのものではなく、個人が買ったものや、個人が受けた介護や医療の内容とか、個人の保有する財産の内容など、個人のデータやデータペースを指す。そして、これらの個人情報は、原則として、本人の同意がなければ第三者に渡すことができない。しかし、緊急やむを得ない場合や、他の法律を執行をする必要がある場合などには、例外的に本人の同意がなくても情報をやり取りできる。限定的な範囲の情報を、法律(個人情報保護法)で規制しているにすぎない。

 憲法で保障されているプライバシーと、個人情報保護法という法律で保障されている個人情報は、質的に違う。しかも、プライバシーとして保護される部分は、個人情報として保護される部分よりも広い。その上で、プライバシーは厳格かつ最大限に保護されるべきであるのに対し、個人情報は緊急性・必要性が高い場合には緩やかに取り扱うことが許される。

 被災者に対する行政の対応を見ていると、プライバシーの保護よりも、個人情報の保護を重視しているのではないかと思いたくなるような現象が眼に飛び込む。

 例えば、避難所の生活がプライバシー保護という観点から不十分であることは明らかだ。一方、被災者に対してどのような支援が必要か検討するには、きめ細かな個人情報を共有する必要がある。それにも拘わらず、被災直後の行政は、ボランティアや支援に入った福祉関係者に対し、個人情報保護法を盾に情報提供をしなかった。そのために被災者に対する支援が遅れた。 

 あれから2ヶ月以上経過して、このような状況は改善されているのであろうか。また、同様の災害が発生した場合に備えて、プライバシー保護の問題と、個人情報保護の問題とを、整理しておく必要がある。

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老人福祉施設の被害は、本当に不可抗力? [被災者支援]

 あの日あの時刻に、大船渡にある特別養護老人ホームには、入所者とデイサービス利用者合わせて91人のお年寄りがいた。そのうち55人の方が津波に襲われて死亡または行方不明になった。海岸から約1キロ離れた坂の途中にあるこの特養では、デイサービスの大きな部屋でお年寄りたちが輪投げゲームをしている最中に、激しい揺れがきた。「怖いなぁ。津波がこねえばいいなぁ」と誰かが言った。その直後に、津波は容赦なくこの特養に襲いかかった【読売新聞2011.4.22 「3.11の記録ー大地が海が」】。

 ここで問題になるのは、この特養があった場所である。大船渡は、過去に何度も津波被害に遭っている。しかも、10メートル以上の高さに及ぶ大きな津波だ。そのため、街角には「ここから先は、津波被害に遭う可能性がある」「ここまでは、津波被害に遭う可能性がある」というプレートが各所に設置されていた。この特養は、まさに「ここから先は津波被害に遭う可能性がある」場所のど真ん中に位置していた。

 老人福祉法は、社会福祉法人が特養を設置しようとする場合、都道府県知事(政令指定市の場合は市長)の認可を受ける必要があると規定する。知事は、厚生労働大臣の定める設置基準(省令)を充たしていることを確認して、設置について認可をする。

 この設置基準には、特養の基本方針や設備、運営に関して、細かな点についてまで規定がなされている。確かに、設置基準に「安全な場所に設置しなければならない」という規定はない。しかし、安全な場所に建物が建っていることは認可をする当然の前提であり、危険な場所に特養を建てようとする場合、役所は認可をしない。

 本件のように、津波が押し寄せることが想定されている場所に特養を設置する場合、役所は津波被害の可能性を全く無視をしてよいものだろうか。このような危険な場所に特養を建てることを認めた県に全く責任がないと言えるのであろうか?

 確かに、今回の津波は未だかつてない大きなものであった。ここまで大きな津波が押し寄せ、ここまで大きな被害が出るとは予測できなかった、不可抗力であった、と県は抗弁するのであろう。しかし、本当に不可抗力であったのかどうか?過失を認定する際の判断基準である、「予見可能性」がなかったと言えるのか?

 被災者の家族の立場からすると、「そんなところに特養を作らせなければ、うちの親は死ななかった」と言うのであろう。これに対して、「いや、そうではなくて…」と言うことに、弁護士として躊躇を覚える。
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被災者への法的支援 [被災者支援]

 隣人トラブル、保険金支払い…今後 顕在化 長期的、組織的な法的支援を
 東日本大震災では多くの弁護士が被災地に入り、法律相談を実施している。ただ、落ち着かない生活の中で、まだ法的な問題を考えられない被災者も多いという。今後、生活が落ち着くにつれ、法律家のニーズが高まるとともに仮設住宅などに移ることで新たなトラブルの発生も予想される。長期的、かつ組織的な法的支援が求められている。【産経ニュース 2011.5.25】http://sankei.jp.msn.com/life/news/110525/trd11052507570001-n1.htm

 法律相談を受けるとき、震災直後は、将来に夢をもたせて安心してもらうように対応してきた。しかし、あれから2ヶ月が経ち、夢ではなく現実の問題をより具体的に示して安心してもらうようになってきている。

 たとえば、相談者が大幅に債務超過になっている場合、通常であれば任意整理では難しいとして、弁護士は自己破産を勧める。しかし、東北三県の人は、律儀で頑固。「借りたものは返すのが当たりまえだ」と考えている人が多い。「自己破産をするくらいならば死んだ方がましだ」と考えている人が圧倒的だ。

 「自己破産」というキーワードを口に出すことは、相談者に死刑を宣告することと同義に捉えられるおそれがある。そのため、二重ローンに対する対応についても、最悪の想定(破産)を説明できない状況だった。ところが、被災から2ヶ月以上経った現状では、債権者に対して返済の一時猶予を求めたり、毎月の返済額を減らす等の申入れを勧めると同時に、「自己破産」についても、客観的に、理論的に、冷静に説明をする時期が到来している。メリットとデメリットを具体的に示したうえで、「自己破産」も選択肢の1つであることを示すことが必要だ。現実の問題をより具体的に示すことによって、安心感を与える時期がきた。

 そうは言っても、被災した方の中には精神的に大きなダメージを受けている人が多くいる。そのような人に対しては、メンタルケアを含めて、将来に対する夢を語るべきである。

 日弁連と法テラスは、6月1日から、東北三県に被災者からの総合的な法律相談を受けるために、拠点事務所を設置して弁護士を常駐させる仕組みを作るため協議を重ねている。長期的、かつ組織的な法的支援のための仕組みができる。被災者に対するきめ細かな法的支援を期待したい。
 

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震災孤児に対する支援 [被災者支援]

 厚労省によると5月14日現在、岩手、宮城、福島3県の震災孤児は141人。このうち宮城の2人が児童福祉施設に入所したほかは、139人全員が一般家庭に引き取られ、大多数は親族が養育することになった。
 児童福祉法で親族里親は、3親等以内と規定され、子供の年齢によって毎月4万7680~5万4980円の生活費と、就学状況に応じた教育費が支給される。通常の養育里親には支給される里親手当は支払われない。(中略)
 親族里親への登録は居住地の児童相談所に相談後、各都道府県に申請し認定を受ける。厚労省によると、震災後に3県では、数人が親族里親の登録を検討しているが、14日までの申請は岩手県の2件のみ。
2011/05/14 19:22 【共同通信】

 両親を亡くした子どもの支援について、生活支援を中心とする「身上監護」と、両親から相続した財産や生命保険金などの管理する「財産管理」は、車の両輪である。

 「身上監護」で、里親、とりわけ叔父さんや叔母さんが就任する親族里親の存在は、子どもの心の安定を考えると極めて重要である。親族里親の制度を広く周知させるべきである。

 しかし、里親がいれば子どもの支援が十分であるわけではない。里親に「財産管理」権は何ら与えられていないからである。すなわち、里親には、亡くなった親から相続した財産や、両親の生命保険金の管理について法的権限はない。うがった見方をすれば、保険金目当ての親族などが里親になった場合、子どもに対する経済的虐待が起こることは必至である。その意味で、未成年後見人の選任は不可欠である。

  未成年後見には、大きく分けて二つの問題がある。

 一つは、未成年後見の審判を誰が申し立てるかという点。
 現行法上、親族や市町村の児童相談所に申立権がある。親族が被災した場合申立をすることは考えにくく、児童相談所が申立をすることになる。しかし、もともと児童相談所は虐待などを原因に親の親権を喪失させることに伴って未成年後見の審判を求めることが職務の中心になっている。そのため、震災を理由に未成年後見の審判を求めることは本来予定されていない仕事だ。
 児童相談所の支援をどのようにしていくのか、日弁連と日本社会福祉士会との協議が続く。

 もう一つは、未成年後見人の候補者の問題。
 現行法上、自然人(生身の人間。「法人」に対応する法律概念)でなければ未成年後見人になれない。しかも、複数後見は認められていない。そのため、子どもたちの実情にあった後見人を選任することが困難な状況であった。この点について、現在開会されている国会で、複数後見人が認められ、法人後見も可能になる民法改正法案が可決された。
 また、後見人候補者がいない事態に至った場合、弁護士や社会福祉士が候補者になりうるのか、受け皿を充実させることも必要であろう。

 家庭裁判所、児童相談所、市町村、弁護士会、社会福祉士会が、この問題について一堂に会して議論をするテーブルを作るべきだ。
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「避難所」から「仮設住宅」へ。高齢者・障害者は…。 [被災者支援]

東日本大震災の被災地、岩手県宮古市の宮古山口病院(及川暁院長)が震災直後に精神疾患で入院した患者を調べたところ、8割が家族や自宅を失うなどした被災者だったことが分かった。ショックや避難所での共同生活のストレスに耐えきれずに症状が悪化。一部には、居場所がなくなったため入院が長引いているケースもあり、同病院は早急な対策の必要性を指摘している。
【毎日新聞 5月17日(火)10時46分配信】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110517-00000026-mai-soci

 自宅や家族を失った喪失感と、避難所でのストレスが相まって、被災者の精神状態は極限状態になっている。「避難所」は、あくまでも一時的に避難をするところであり、居住には適していない。高齢者・障害者で、介護などが必要なため一般の避難所では耐えられない被災者は、「福祉避難所」に移され、介護や支援を受けることになる。

 5月1日に女川町の「福祉避難所」を訪れた。
 水没した社会福祉協議会の2階が「福祉避難所」になっていた。大きなフロアには、比較的介護度の低い方や、障害の程度が低いかたがベッドに横たわっていた。他方、家族のいる高齢者・障害者は、家族と共に個室で休んでいた。高齢者・障害者を単身で避難させると、不安感を増幅させ、認知症や障害が悪化するからだ。また、食事も栄養士さんが常駐しているため、暖かい食べ物が供されていた。当時は、ガスが通っておらず、電気も充分には供給されていなかったため、ガスボンベ式のコンロで煮炊きをしていた。それでも、高齢者・障害者の方には喜ばれていた。

 被災者は今後、「避難所」から「仮設住宅」などに移り住むことになる。ひとまずプライバシーは守られ、家庭の平穏が取り戻されることになる。しかし、「仮設住宅」へ移っても、居住スペースが確保されたにすぎず、必ずしも高い質の住環境や介護・支援が確保される訳ではない。

 要介護高齢者にとっては、必要な介護保険サービス等の確保が焦眉の急である。厚労省も、仮設住宅における要介護高齢者等の安心した日常生活を支え、仮設住宅地域に、高齢者等に対する総合相談、デイサービスや生活支援サービスを提供するため、サポート拠点を設置するため、平成23年度第一次補正予算案で、介護基盤緊急整備等臨 時特例基金(地域支え合い体制づくり事業分)を積み増した。
http://www.roken.or.jp/member/mhlw/vol.197saport_kyoten0427.pdf

 仮設住宅を作るにしても、高齢者・障害者のように介護や支援が必要な被災者を分散させるのではなく、家族単位で一定程度集約させることが必要ではないか。そのうえで、高齢者・障害者が集約された直ぐ近くに、サポート拠点を設置すべきである。できれば、日弁連や日本社会福祉士会は、これらのサポート拠点の一角に、高齢者・障害者の専門相談窓口を開設してはどうか。

 被災された高齢者・障害者の皆さんが、元の生活に戻ることが大きな目的である。しかし、その目的の過程として、このような支援の輪を構築することが必要ではないか。



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