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震災孤児に対する支援 [被災者支援]

 厚労省によると5月14日現在、岩手、宮城、福島3県の震災孤児は141人。このうち宮城の2人が児童福祉施設に入所したほかは、139人全員が一般家庭に引き取られ、大多数は親族が養育することになった。
 児童福祉法で親族里親は、3親等以内と規定され、子供の年齢によって毎月4万7680~5万4980円の生活費と、就学状況に応じた教育費が支給される。通常の養育里親には支給される里親手当は支払われない。(中略)
 親族里親への登録は居住地の児童相談所に相談後、各都道府県に申請し認定を受ける。厚労省によると、震災後に3県では、数人が親族里親の登録を検討しているが、14日までの申請は岩手県の2件のみ。
2011/05/14 19:22 【共同通信】

 両親を亡くした子どもの支援について、生活支援を中心とする「身上監護」と、両親から相続した財産や生命保険金などの管理する「財産管理」は、車の両輪である。

 「身上監護」で、里親、とりわけ叔父さんや叔母さんが就任する親族里親の存在は、子どもの心の安定を考えると極めて重要である。親族里親の制度を広く周知させるべきである。

 しかし、里親がいれば子どもの支援が十分であるわけではない。里親に「財産管理」権は何ら与えられていないからである。すなわち、里親には、亡くなった親から相続した財産や、両親の生命保険金の管理について法的権限はない。うがった見方をすれば、保険金目当ての親族などが里親になった場合、子どもに対する経済的虐待が起こることは必至である。その意味で、未成年後見人の選任は不可欠である。

  未成年後見には、大きく分けて二つの問題がある。

 一つは、未成年後見の審判を誰が申し立てるかという点。
 現行法上、親族や市町村の児童相談所に申立権がある。親族が被災した場合申立をすることは考えにくく、児童相談所が申立をすることになる。しかし、もともと児童相談所は虐待などを原因に親の親権を喪失させることに伴って未成年後見の審判を求めることが職務の中心になっている。そのため、震災を理由に未成年後見の審判を求めることは本来予定されていない仕事だ。
 児童相談所の支援をどのようにしていくのか、日弁連と日本社会福祉士会との協議が続く。

 もう一つは、未成年後見人の候補者の問題。
 現行法上、自然人(生身の人間。「法人」に対応する法律概念)でなければ未成年後見人になれない。しかも、複数後見は認められていない。そのため、子どもたちの実情にあった後見人を選任することが困難な状況であった。この点について、現在開会されている国会で、複数後見人が認められ、法人後見も可能になる民法改正法案が可決された。
 また、後見人候補者がいない事態に至った場合、弁護士や社会福祉士が候補者になりうるのか、受け皿を充実させることも必要であろう。

 家庭裁判所、児童相談所、市町村、弁護士会、社会福祉士会が、この問題について一堂に会して議論をするテーブルを作るべきだ。
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