SSブログ

後見 障害者の親亡き後Ⅰ [成年後見]

 知的障害を持つお子さんの両親は、自分たちが亡くなった後のことを考えると不安でたまらない。知的障害の子どもを取り巻く状況は劣悪であり、実の両親であれば何とかそのような状況を克服していける。しかし、親亡き後はどうなるのか心配は増幅されるばかりだ。

 私が後見人をしている知的障害の女性(40歳代)の父親は、そのような不安を弁護士に託した。彼女の母親は既に亡くなっていて、父親としては第三者に頼らざるをえなかった。私が後見人に選任された当初は、父親も健在で彼女を2人で支援していったが、翌年父親も亡くなった。

 残された彼女は、障害者施設に入所していたが、父親の財産(土地・建物と数千万円の預金)を相続した。預貯金は本人の生活を支援するために活用するとして、土地・建物をどのように活用すべきか後見人の私は悩んだ。悩んでいる時に、ダメ元で私は彼女に質問をした。
     私   「○○ちゃん、この施設とおうちと、どっちが好き?」
     彼女 「おうち」
 予想どおりの答えだ。

 民法858条は、成年後見人に本人の意思の尊重義務と身上配慮義務を課している。

 悩んだ末、私は建物をグループホームに改築することにし、そのグループホームに彼女も入居するというスキームを考えた。そして、グループホームを運営してくれるNPO法人を探し当て、計画を実現することができた。NPO法人から家賃をもらい、他方NPO法人にグループホームの入居費用を支払うことになる。増改築費用は約3千万円かかり、彼女を含めて5人のグループホームができあがった。

 グループホームができて5年になる。彼女は両親と暮らした家の自分の部屋で暮らし、その部屋から通所施設に通っている。お父さんの考えていた支援の方法とは違っているのかもしれないが、大きくぶれてはいないのでは…。それよりもなによりも、お父さんは天国から、彼女の意思通りの暮らしぶりを、微笑みながら眺めているに違いない。

 
 
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

未成年後見震災孤児に対する支援 ブログトップ

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。