SSブログ

ホームロイヤー [弁護士の仕事]

 こう見えても、私には「追っかけ」が複数いる。高齢のご婦人だ。私が講演をすると言えば、必ず真ん中のブロックで私と眼が合う場所をキープする。そして、私の一言一言に反応を示してくれる。心がかようというのは、こういうことを言うのだろうか。このことを妻も知っている。しかし、微笑ましく思っている。ご婦人たちには再臨界の危険性は全くないのだから。

 冗談はさておき、本論に移る。

 ホームロイヤーとは、ホームドクターを模した和製英語だ。企業の顧問弁護士と同じように、私人の顧問弁護士になることとご理解いただければありがたい。

 私は、5人のご婦人、それに1人の男性と、ホームロイヤー契約を締結している。毎月一度、事務所にきていただくか、電話で安否確認をすることが業務の基本だ。そのうえで、本人に代わって処理をすべき事務が発生した場合には、本人の代理人として処理することが契約内容になっている。この5人のご婦人は、みなさん私の「追っかけ」であることは言うまでもない。

 毎月、何の話をするの?と思われるかもしれない。

 ホームロイヤー契約を締結する場合、任意後見と遺言の作成を受任することが基本のパターンだ。自分が呆けた時に備えて任意後見契約を結ぶ。 自分が亡くなった時に備えて遺言を書く。いずれも、自分の意思をそれぞれの段階で実現することが目的である。呆けたら思いどおりにならない、亡くなったら思いどおりにならない。しかし、思いどおりにするためにはどうしたらよいか?任意後見と遺言をしておけば、呆けた後も自分の思いどおりに生きられるし、遺言を書いておけば、亡くなった後も自分の意思通りに資産をバトンタッチすることができる。

 判断能力があり、自分のことを自分で決められる時から、自分の老後や自分の死後に備えて準備をする。その手段として、ホームロイヤーがあるということだ。

 ホームロイヤー契約を締結したのちに、任意後見や遺言を作るための打ち合わせをすることが、1つの目的である。他方、任意後見や遺言の作成が終わった後は、任意後見や遺言では対応できないことについて、議論を深めていく。例えば、お墓の問題。永代供養の問題。

 もっと大事なのは、日常どうしたら良いか分からないことを何でも相談できるというのが、ホームロイヤーの役割かもしれない。気心の知れた弁護士に「よろず相談」を気軽にできる仕組みとして、ホームロイヤーを位置づけることができるかもしれない。

 2011年11月11日、日弁連は横浜で「弁護士業務改革シンポ」を開催する。「ホームロイヤー」もシンポの分科会で議論されることが決まった。どのような議論がなされるか楽しみだ。私もパネラーとして出席する。言いたい放題言うつもりだ。
nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:blog

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。