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「避難所」から「仮設住宅」へ。高齢者・障害者は…。 [被災者支援]

東日本大震災の被災地、岩手県宮古市の宮古山口病院(及川暁院長)が震災直後に精神疾患で入院した患者を調べたところ、8割が家族や自宅を失うなどした被災者だったことが分かった。ショックや避難所での共同生活のストレスに耐えきれずに症状が悪化。一部には、居場所がなくなったため入院が長引いているケースもあり、同病院は早急な対策の必要性を指摘している。
【毎日新聞 5月17日(火)10時46分配信】
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110517-00000026-mai-soci

 自宅や家族を失った喪失感と、避難所でのストレスが相まって、被災者の精神状態は極限状態になっている。「避難所」は、あくまでも一時的に避難をするところであり、居住には適していない。高齢者・障害者で、介護などが必要なため一般の避難所では耐えられない被災者は、「福祉避難所」に移され、介護や支援を受けることになる。

 5月1日に女川町の「福祉避難所」を訪れた。
 水没した社会福祉協議会の2階が「福祉避難所」になっていた。大きなフロアには、比較的介護度の低い方や、障害の程度が低いかたがベッドに横たわっていた。他方、家族のいる高齢者・障害者は、家族と共に個室で休んでいた。高齢者・障害者を単身で避難させると、不安感を増幅させ、認知症や障害が悪化するからだ。また、食事も栄養士さんが常駐しているため、暖かい食べ物が供されていた。当時は、ガスが通っておらず、電気も充分には供給されていなかったため、ガスボンベ式のコンロで煮炊きをしていた。それでも、高齢者・障害者の方には喜ばれていた。

 被災者は今後、「避難所」から「仮設住宅」などに移り住むことになる。ひとまずプライバシーは守られ、家庭の平穏が取り戻されることになる。しかし、「仮設住宅」へ移っても、居住スペースが確保されたにすぎず、必ずしも高い質の住環境や介護・支援が確保される訳ではない。

 要介護高齢者にとっては、必要な介護保険サービス等の確保が焦眉の急である。厚労省も、仮設住宅における要介護高齢者等の安心した日常生活を支え、仮設住宅地域に、高齢者等に対する総合相談、デイサービスや生活支援サービスを提供するため、サポート拠点を設置するため、平成23年度第一次補正予算案で、介護基盤緊急整備等臨 時特例基金(地域支え合い体制づくり事業分)を積み増した。
http://www.roken.or.jp/member/mhlw/vol.197saport_kyoten0427.pdf

 仮設住宅を作るにしても、高齢者・障害者のように介護や支援が必要な被災者を分散させるのではなく、家族単位で一定程度集約させることが必要ではないか。そのうえで、高齢者・障害者が集約された直ぐ近くに、サポート拠点を設置すべきである。できれば、日弁連や日本社会福祉士会は、これらのサポート拠点の一角に、高齢者・障害者の専門相談窓口を開設してはどうか。

 被災された高齢者・障害者の皆さんが、元の生活に戻ることが大きな目的である。しかし、その目的の過程として、このような支援の輪を構築することが必要ではないか。



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