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4度目の被災地 ③ [被災者支援]

(前回のつづき)

 2月10日、私は大船渡で2つの仮設住宅を訪問した。

 現在、大船渡市の仮設住宅にサポートセンターはない。平成24年4月までに4カ所に設置する予定だ。

 そこで、サポートセンターが存在しない仮設住宅の現状について調査をした。
 各仮設住宅には、1年限定で期間雇用された「支援員」がいる。その支援員は、市から業務委託を受けた私企業に雇用されている。支援員は概ね1つの仮設住宅に1人配置されており、大きな仮設住宅には複数の支援員が配置されている。

 支援員は、各仮設住宅の住民から市などに対する要望などを聴き取り、それを雇用されている私企業に報告し、私企業はその報告を市などに報告するという形で、仮設住宅の住民の要望などを伝達する。支援員は、住民からの生活相談や法律相談などを受けた場合でも、自ら解決したり専門職に伝えることは禁じられており、すべて雇用主である私企業に伝え、それを市などに伝えなければならないようだ。

 そのため、住民が緊急に支援員に相談をしたり依頼しても、その相談や依頼が実現するまでに時間がかかることになり、住民はその点について不満を抱いているようだ。

 支援員は、高齢者・障害者に特化して何かをするという役割を担っているわけではない。そのため、高齢者・障害者は自分の思いを支援員に伝えきれているわけではない。

 また、仮設住宅に居住する高齢者・障害者は自宅に引きこもりがちだ。サポートセンターのない現状において、高齢者・障害者を居室から外に出てもらうことに支援員は頭を悩ませている。ことある毎に声がけをして、イベントがあれば出かけるように促すことが毎日の日課になっている。

 高齢者・障害者の孤立防止のためにもサポートセンターは不可欠であり、高齢者・障害者にとって身近な場所にサポートセンターが必要であることを再確認した。

さらに、サポートセンターには、ある程度の裁量権をもつライフサポートアドバイザーが必要だ。ライフサポートアドバイザーが、高齢者・障害者のニーズを吸い上げ、迅速に対応するというシステムが必要であることも実感した。

 
 複数のサポートセンターがある場合、サポートセンター相互の情報交換と共通の研修が必要だ。また、岩手県全域のサポートセンターの担当者を集めた研修も必要である。サポートのスタンダードを構築することによって、高齢者・障害者の権利擁護のファンダメンタルズを確保することが必要だと思う。 

 高齢者・障害者は、仮設住宅のなかで充分な支援を受けることができない状況だ。そのような状況を打開するためには、仮設住宅にサポートセンターを設置するとともに、ライフサポートアドバイザーが専門知識をもって積極的に高齢者・障害者に関わることが不可欠だ。

(つづく)


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