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市民後見人 ③ [成年後見]

 厚生労働省は、昨年(平成23年)「市民後見推進事業」(モデル事業)を展開した。それに応じて全国37のし市町村がこのモデル事業を実施した。

 この事業は、厚生労働省が全額事業費を支出する、いわば10/10の事業である。横浜市もこのモデル事業を実施した。
http://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/shiminkouken/index.html
  
 このモデル事業に基づき、「横浜市における市民後見人検討委員会」では、以下のような論点について議論がなされた。

1 市民後見人の必要性
  なぜ市民後見人が必要なのか。

  この点については、地域で生活をする高齢者・障害者を、地域で支えて行くという地域福祉の考え方からすれば、地域に根ざした市民が成年後見人に選任されて高齢者・障害者を支えて行くことが本来の姿ではないのかと結論を導いた。成年後見人の受け皿が足りないから、市民後見人を養成するという考え方ではなく、成年後見制度本来の趣旨から必要性が導かれることを確認した。

2 市民後見人の考え方(定義・位置づけ、報酬の有無など)
  施設入所者を中心に考えるのか、在宅を中心と考えるのか。
  身上監護を中心に考えるのか、身上監護+財産管理と考えるのか。
  報酬請求を認める否か。認めた場合、養成機関に上納は可能か。

  地域で地域の高齢者・障害者を支援するという視点からすると、在宅の高齢者・障害者をすることが基本になる。しかし、施設入所の高齢者・障害者を排除するものではない。
  また、高齢者・障害者をトータルで支援するという成年後見制度の趣旨からすれば、身上監護にだけ偏って支援するのではなく、身上監護の基盤となる財産管理についても、市民後見人は担当すべきである。
  報酬については、市民後見人が責任をもって後見業務を実施するためには、報酬請求を認めるべきである。市民後見人が担当する後見業務の特性からすると、後見報酬が多額のものになることは考えにくいことも、この考えの下支えになっている。

3 市民後見人の活動形態
  法人後見支援員として活動するのか、個人として活動するのか。

  地域の市民が地域の高齢者・障害者を支援するという理念からすると、市民が個人として活動することが基本になる。法人後見の支援員としての活動は、市民後見の理念とは少し異なる視点になる。

4 市民後見人の活動内容(生活の場・地域とのつながりなど)
  広域対応をするのか、地域で対応していくのか。

  地域の市民が、地域の高齢者・障害者を支援するという視点からすると、広域対応ではなく地域で対応していくべきである。

5 登録と受任までのサポートと、受任後ののサポート
  市・市社協・区社協など公的機関と、弁護士法・社会福祉士会など専門職団体は、どのようなサポート体制を整えるべきか。

  市民が市民を支える場合、重層的な養成と支援が不可欠である。それがないと、素人である市民後見人は高齢者・障害者に対して実質的な支援をすることができなくなる。また、実質的な監督を担保するためには、行政や社協などの公的機関と、弁護士会や社会福祉士会などの専門職団体との密接な連携が必要である。

  横浜市では、市民後見人について、このような論点整理をした上で、制度設計をすることになった。

(つづく)
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