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損害賠償 [弁護士の仕事]

 堅い話が続いているので、柔らかい話を。

 今から約10年前、あるタレントから事件の依頼を受けた。タレントと行っても、いわゆる「ストリッパー」で、ご贔屓(ひいき)筋の医者から損害賠償の請求を受けたのだ。損害賠償請求事件の被告代理人。しかも、原告の医者に代理人はおらず本人訴訟だ。

 医者の訴状がすごい。訴状の中身が卑猥な言葉と低俗な表現で一杯。挙げ句の果てに、書証として被告のヌードのグラビアを提出してきた。こんな書証を裁判所でやりとりして良いものかと、目を疑いたくなるような代物だった。

 請求の趣旨は、
 ①被告は原告に1500万円を支払え。②対価に見合ったサービスをしろ(だいぶ前の話なので…多分こんな表現)

 請求の原因は、
 ①被告が興業に来るたびに一泊30万円のスイートを連泊させ、食事も高級レストランで食べさせ、ワインも一本数十万円だった。これら原告が被告に貢いだお金は合計1500万円。それにも拘わらず、被告は原告に対しなんらのサービスもしない(この辺りの表現はもっとドギツイものだった)。したがって、1500万円を返還しろ。
 ②もし、1500万円を返還しないのならば、それに見合ったサービスを提供しろ(このサービスがひどい……SM)。

 訴訟に被告を出頭させるのが、原告の本当の狙いだったようだ。しかし、被告代理人としては断じてその狙いには乗らない(すばらしい代理人だな)。原告は法廷でいらだった。その挙げ句、尋問請求。しかし、却下。

 裁判官は原告の狙いを悟ったようだ。
 判決は当方勝訴の判決。「請求を棄却する」

 原告は控訴せず、判決は確定した。
 「趣味の世界を、現実の世界と混同しないように」。これは私の独り言。

 

 
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