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遺産分割 [弁護士の仕事]

 今まで、弁護士の仕事といっても、普通の弁護士があまり引き受けないような仕事を紹介してきた。ここで、オーソドックスな仕事について書いてみる。

 ある人が亡くなると、遺言が残されていない場合、遺産分割の手続をしなければならない。

 遺産分割の手続としては、段階を追って、①協議、②調停、③審判という順に進んでゆく。①で終われば②③へはいかず、①がダメで②で終われば③にいかず、①でも②でも解決できない場合に③へ進むことになる。

 「棚からぼた餅のぼた餅は、大きければ大きいほどいい」のだろうか。
 身内同士の争いは、激しく根深い。「血で血を洗う戦い」。

 まず、相続財産の範囲を確定する。被相続人(亡くなった人)のプラスの財産(預貯金や不動産など価値のあるもの)と、マイナスの財産(借金や負債など)が、相続財産に含まれる。ここで、プラスの財産よりも、マイナスの財産が多い場合には、相続を放棄することになる。

 次に、相続人間で、だれが何を取得するのか、財産の分け方について議論をする。被相続人が多額の預貯金を保有している場合には、選択肢が多いので比較的容易に分割することができる。他方、自宅の土地建物しかない場合のように財産が少ない場合の方が難しい。

 「うちは財産がないから相続でもめることはない」というのは大間違い。ない方がもめる。

 相続人のうちの誰かが土地建物を相続して他の相続人に対して代償金を支払うか、土地建物を売却してお金に換えてお金を分けることになる。土地建物を売却することには、心情的に抵抗があるようだ。両親と過ごした家を売却するのは忍びないということだろう。

 遺産分割に際して伏線になるのは、子どもたちの経済的基盤と、子どもたちの配偶者の金銭感覚だと思う。経済的基盤がなく金に困っていて、奥さんの金銭欲が強い場合には、激しいバトルになる可能性が高い。理屈では理解できない議論が闘わされる。

 私の事務所には、遺産分割の相談が多い。しかも、複雑で難しい事件が多い。そのような事件を、サクサクと解決するための奥義は、登場人物の性格と経済的基盤を様々な情報から立体化することと、その登場人物の配偶者の情報を多角的に収集することにある。(あっ、企業秘密を漏らっしちゃった…)
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