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高齢者への法的支援 [弁護士の仕事]

 高齢者の皆さんは、さまざまな悩みを抱えている。

 たとえば、
  介護が必要になったらどうしよう。認知症になったらどうしよう。
  財産の管理をしてもらいたい。年金では生活が苦しいどうすればいいの。
  騙されてローン組まされちゃった。息子が暴力振るう。娘から年金をとられた。
  最後まで家で暮らしたいんだけど、そのとおりにするにはどうしたらいいの。
  無理に治療せず安らかに死にたいんだけど。 
  私の遺した財産で争わないでほしい。などなど。

 高齢者の皆さんは、加齢に伴って様々な不安と日々葛藤している。
 そのような高齢者という属性に着目した横断的な支援が必要である。

 高齢者の皆さんは、市民としての一般的な法律問題から、高齢者特有の問題まで、重層的な悩みを日夜抱え込んでいる。高齢者への法的支援は、そのような高齢者の生活全般を見通した上で、総合的になされなければならない。
 
 高齢者の皆さんへの法的支援は、その射程範囲が広範で、かつ専門的で、しかも総合的であることに特徴がある。

 そのため、高齢者の方から法律相談を受ける場合には、その相談は氷山の一角であり、水面下には大きな悩みの氷が横たわっていることを認識しながら聴いていく必要がある。

 場合によっては、真の悩みが隠れていて、別の角度から相談をされることもある。そのような場合には、多方向から質問を重ねることによって、悩みの本質が浮き彫りになってくることがある(いくら頑張っても浮き彫りにならないようなら、日を改めることも必要だ)。

 そのように、受け止める側が粘り強く(気長に…)聞き出していくことが重要だ。

 また、現在高齢者に対する法的支援の体制整備ができていない。特に、高齢者はわざわざ弁護士の事務所を訪ねることは難しい。弁護士の側が高齢者にアウトリーチするという手法が不可欠だ。このことを、法的サービスのバリアフリーと言ってもよい。

 さらに、高齢者にまつわる制度や仕組みに精通している弁護士ばかりではない。高齢者の皆さんから相談を受けた時に的確に回答できるだけの専門性を高める必要がある。

 そして、弁護士だけでは高齢者の皆さんの問題を解決することができない問題が沢山ある。そのような場合には、ケアマネさんやケースワーカーさん、ヘルパーさんなどの支援者と連携して支援をする必要がある。

 法的なバリアフリーがなされ、専門性の高い弁護士による支援者と連携した対応が、高齢者への法的支援の要諦であると思う。

 (おわり)
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えみまろ

おはようございます。
はじめまして。
プロフィール拝見しました。
弁護士をされているとのこと。
私は、内容は詳しくこの場で述べることは出来ませんが、
今まで2回弁護士のお世話になっています。
そして、
精神障がい者です。

「がんばらなくていい・・・。」ってブログタイトルいいですね。^^
「頑張れ!」って言われると、
プレッシャーになり、
私の場合押しつぶされてしまうのです。

私が委任するまでに接した弁護士にも、
色んな人がいました。
「法」は、
弱者の味方であるべきです。
by えみまろ (2012-03-06 09:13) 

emmei1

高齢者や障がい者の問題に精通した弁護士が、今よりも増えると良いですね。
ノーマライゼイションの理念からすると、私も、「法」は弱者の味方であるべきだと思います。
by emmei1 (2012-03-06 12:11) 

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