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後見 障害者の身上監護Ⅳ [成年後見]

 約8年前、70歳代後半、統合失調症の男性の成年後見人に就任した。
 姉、社会福祉士、私の複数後見だった。

 姉と弟は仲が良く、他に身寄りはない。弟は、以前一部上場会社に勤務していたが、統合失調症を発症し退社した。その後、姉と弟が両人名義の一戸建ての自宅で2人だけの生活を始めた。弟は人見知りが激しく、姉以外の人と会話をするとができない。そして、姉は、食事の世話や洗濯、掃除など、高齢の姉弟の生活に限界を感じていた。

 私が成年後見制度に関する講演をしているときに、姉は受講生として私の話を聴いていた。そして、自分の弟のために成年後見人を選任したいと考えた。姉は、自分と弟が一生一緒に暮らしたいと考え、弟の成年後見人が選任された場合には、弟と一緒に暮らせる施設に入所することを望んでいた。

 家庭裁判所は、弟の問題点を回避して支援をするには、複数後見が必要であると判断した。

 姉は、日常生活の支援を中心に後見人として活動をする。
 社会福祉士は、姉と弟が一緒に暮らせる終の棲家(施設)を探すことを中心に活動する。
 私、弁護士は、姉と弟の財産を総合的に管理することを中心に活動する。

 社会福祉士は、姉と弟と一緒に有料老人ホーム巡りを始めた。施設を見学しながら、2人の身上監護に必要な支援のあり方を分析していった。私は、1ヶ月に一度お宅を訪れ、財産管理の方法について検討を始めた。

 約1年後、姉と弟は、気に入った有料老人ホームに入ることができた。隣どおしの部屋で、必要があればお互いの部屋を行き来できる環境。2人は安心して生活ができる終の棲家を見つけた。社会福祉士は大いに2人から感謝された。

 その後、社会福祉士が後見人を辞任し、姉と私との複数後見に移行した。社会福祉士の辞任は、就任当初から施設入所が決まった段階で辞任するという既定どおりの事態だ。3年後に弟が亡くなるまで、姉と私の複数後見は続いた。姉と弟は、2人で楽しい生活を送った。

 被後見人の状況に応じて、複数後見には様々なバリエーションがある。

 



 
 
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